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【税理士が解説】パソコンや備品の一括経費計上が「40万円未満」に拡大!税制改正のポイントと注意点

2026年6月16日

【税理士が解説】パソコンや備品の一括経費計上が「40万円未満」に拡大!税制改正のポイントと注意点

年末の節税対策で「パソコンやデスクを買おう」と考える個人事業主や中小企業の社長は多いと思います。その際のに使えるのが、少額の備品を買ったその年に全額経費にできる「少額減価償却資産の特例」です。

これまでこの特例の上限は「30万円未満」でしたが、最新の税制改正により「40万円未満」に引き上げられました。物価高でパソコンをはじめ業務機器の値段が上がり続けている中、実務上かなり使い勝手が広がった改正です。

仕組みそのものはシンプルですが、使い方を間違えると想定外の手間やコストが発生します。今回は改正のポイントと、実務で損をしないための注意点を整理します。

目次

  1. 金額別の経費処理「3つのルート」

  2. 改正後は青色申告なら「40万円未満」まで一括経費に

  3. 一括経費にしても「償却資産税の申告」は必要

  4. 実務で注意したい2つの落とし穴

  5. まとめ

1. 金額別の経費処理「3つのルート」

税務上、備品をいくらで買ったかによって経費の処理方法が変わります。特例の話に入る前に、基本のルールを確認しておきましょう。

1個あたり10万円未満の場合は、誰でも買ったその年に全額を一括で経費にできます(8万円のスマートフォン、5万円の事務用デスクなど)。

1個あたり10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」というルールが使えます。買ったものの種類に関わらず、3年間で均等に(毎年3分の1ずつ)経費にする方法です。後述する「償却資産税」の対象外になるという実務上のメリットがあります。

1個あたり20万円以上になると、原則として法定耐用年数にわたって分割して経費(減価償却)にしていきます。パソコンなら4年、デスクなら8年、といった具合です。

2. 改正後は青色申告なら「40万円未満」まで一括経費に

本来なら20万円を超えると分割処理が必要ですが、個人事業主(青色申告)と一定の中小法人には「少額減価償却資産の特例」が認められています。今回の改正でその上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。

対象者は、青色申告の個人事業主と資本金1億円以下の中小法人です。ただし今回の改正で、対象となる従業員数の要件が「500人以下」から「400人以下」に引き下げられているため、従業員数が400人を超える法人は対象外になっている点に注意が必要です。

ただし、年間の上限は変わらず合計300万円までです。1個の単価上限が上がっただけで、年間総額の枠は据え置かれています。

● 具体例

1台35万円のハイスペックな動画編集用パソコンを導入する場合、改正前は30万円を超えていたため4年間かけて分割経費にするしかありませんでした。改正後は35万円の全額をその年の経費として一度に落とすことができます。購入年の節税効果は大きく変わります。

3. 一括経費にしても「償却資産税の申告」は必要

ここが最も見落とされやすいポイントです。特例を使ってその年の経費に全額落としても、「固定資産としての管理」や「地方税の申告」が不要になるわけではありません。

業務で使うパソコン・デスク・エアコンなどの備品は、一定額を超えると市区町村から課税される「償却資産税(固定資産税の一種)」の対象になります。

「40万円未満の特例」はあくまで国税(所得税・法人税)の話です。地方税のルールでは、特例を使って経費処理した備品も固定資産として残っているとみなされるため、毎年1月に市区町村へ「この資産を持っています」という申告を行う義務があります。

● 合計150万円未満なら免税

申告義務があっても、課税対象となる資産の合計額が市区町村ごとに150万円未満であれば実際の税金は発生しません(免税点)。小規模な事業者であれば、申告の手間は生じても金銭的な負担はないケースがほとんどです。

ただし金額にかかわらず、一括経費にした備品が何台あるかは台帳等できちんと管理し続ける必要があります。

なお、「10万円以上20万円未満の一括償却資産(3年均等)」を選んだ場合は例外で、金額にかかわらず償却資産税の対象外となります。

4. 実務で注意したい2つの落とし穴

● 「40万円ちょうど」は対象外

法律の文言は「40万円未満」です。40万円ちょうどは対象外になり、一括で経費にできません。見積もりや購入前に必ず39万9,999円以下であることを確認してください。

● 「税込」か「税抜」かで判定金額が変わる

40万円未満かどうかの判定は、事業者が「税込経理」か「税抜経理」かによって変わります。

税抜経理の場合は税抜金額で判定します。例えば38万円(税抜)のパソコンは、税込だと41万8,000円でも特例の対象になります。税込経理の場合は税込金額で判定するため、同じ商品でも41万8,000円として判定され、特例を使えなくなります。

消費税の免税事業者は自動的に税込経理になり、また実務上、小規模な事業者の多くは税込経理かと思います。金額が40万円ギリギリの購入をするときは特に注意が必要です。


まとめ

今回の改正で、これまで「30万円を超えるから」と一括経費を諦めていた高性能な機器も、特例の枠内で処理しやすくなりました。

ただし、一括経費にするには「その事業年度内に実際に業務で使い始めていること」が前提です。購入しただけで未セットアップのまま年度をまたいでしまうと、特例が使えません。また、償却資産税の申告管理まで見据えておかないと、後から思わぬ手間が発生します。

「この設備を買ったら今期どれくらい節税になる?」「一括経費と3年均等、どちらが自社にとって有利?」など、判断に迷われたときはお早めにご相談ください。最新の税制に基づいた具体的なアドバイスをいたします。

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